西端真矢

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お花見嫌い 2018/03/25



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花見というものがどうも好きになれない。
もともとばか騒ぎが好きではないこともあるけれど、ほとんど白に近いくらいごく淡い色をつけて咲くあのはかない花の姿を、ただ静かに眺められれば十分幸福だと思うのだ。
もちろん、ごく親しい人と、花の下を静かに歩く花見なら好ましい。けれど歌や踊りや酔って大声を出しどうでもいい冗談を飛ばし合うことが、何故必要なのかと思ってしまう。ある時代々木公園の花見に呼ばれ、トランスやらダブやらが拡声され酔ってしゃがみ込む老若男女のみにくい姿をつくづくと眺め、金輪際二度と一生、大人数の花見には参加しないと胸に誓った。

‥そんな訳で、毎年桜の花はひっそりと慈しんでいる。
我が家の庭にも小さな桜の木があるし、近所に穴場中の穴場と言える公園があって、そこを晴れた日の午後にゆっくりと散歩する。長方形のその公園には見事な桜の木が十本ほど等間隔に植わっていて、近所の人がぽつぽつとやって来てはベンチに座り、深呼吸するように桜を眺め、やがてそれぞれの家にひっそりと帰って行く。
たぶんそこへ来る人はみな私と同じように花見のばか騒ぎを好きになれない人たちで、この大切な場所を誰にも教えたりはしないから、いつまでも好ましい静けさが守られているのだろう。
こうしてまた桜の季節がやって来た。ひねくれ者にはひねくれ者の小さな春が、今年も満開に花をつけている。


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着物の“伝統”はどこまで伝統か?――新創刊の和文化雑誌「ぶ 江戸かぶく現代」に論稿を寄稿しました 2018/03/15



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男子こそ、振袖を着るべきである。何故ならそれが日本の「伝統」であるから――
そんな挑発的なメッセージを冒頭に置いた血染め固めの盃討ち入り果たし状のような、けれど熱いラブレターのような三千字ほどの論稿を、新創刊の雑誌に発表しました。
タイトルは、「着物永久進化論宣言」。
着物を堅苦しく、難しく、いやにごてごてとそして神々しく祭壇にまつり上げてきた「着物、かくあるべし」という「着物の伝統」の虚偽を、「振袖」という、今年ことに社会問題とさえなった一形態を軸に、確実な歴史資料に基づきながら帯をほどき、上前をはだき、襦袢を脱がすようにして暴きたて、その結果裸になった彼女=“着物の本当の愛し方”を、公開ラブレターのようにして書いた論稿です。
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発表の場となった雑誌の名は、「ぶ 江戸かぶく現代」(年1回刊行)。
「江戸かぶく現代」は副題で、純粋な誌名は「ぶ」。取次や書店さんからは「誤植でしょうか?」と問い合わせが相次いでいるという、この一見ふざけたような雑誌のページを繰れば、裏千家の若き宗匠がデコトラで囲まれた狭小空間=茶室で運転手さんに一服を差し上げ‥↓
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江戸時代末期の国民的集団ヒステリー「ええじゃないか」の再来とみまごうライブ風景写真と、その仕掛け人であるパンクバンド「切腹ピストルズ」のインタビューが掲載され‥↓
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一方で、日本服飾史の第一人者、武蔵大学教授・丸山伸彦先生のロングインタビューが展開され‥↓
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舞踊と武術。日本の正統パフォーミングアーツに新解釈を繰り広げる若き表現者たち(花柳凛、源光士郎ほか)↓
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二十歳の新鋭フォトグラファー・零による、振袖新時代を告げる“ネオ振袖”のファッションストーリーのみずみずしさに胸が震えます。(私の論稿はこの組み写真の対として掲載されています)↓
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その他にも書きつくせないほどの才能たちが表現と思想とをぶつけ合ったこの空間に、名を連ねられて良かった、と、今、心から思います。
何故なら、ここに集った人々は皆、頭がちぎれそうなほどに「日本」とは何か、「伝統文化とは何か」を思考し、そして胸が破けそうにそれらを愛しているから。そしてそこに新しい命を吹き込む者であろうとしているから。そう、誌面中、私が最も好んでいるこの写真のように‥↓
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強いエネルギーに満ちたこの雑誌を作り上げたのは、フォトグラファーであり、編集者である、腰塚光晃さん。
その背後で、中目黒でカッティングエッジな着物店「kapuki」を営むスタイリスト・コシヅカレイコさん(そう、腰塚夫人でもあります)とkapukiスタッフの藤井千晶さんが、編集部員として腰塚さんを支えました。
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(↑先日開かれた打ち上げ会で皆様と。腰塚さんは、写真右上の眼鏡の男性。レイコさんはそのお隣り。藤井千秋さんは左下の写真でしゃがんでいる女性です。
着物の男性お二人は、紋章師の波戸場承龍・耀次さん親子。紋章師とは、着物の背中などに家紋を描く職人で、お二人は大正時代からのその家業に加え、家紋をスタッズで表すなど、デザインの領域に踏み込んで快進撃を続けていらっしゃいます。「ぶ」ではP62-63にステッカー化した家紋が登場しているので要注目。
写真左中で日の丸のセーターを着ているのは、販売元であるオークラ出版の営業、長島さん。営業特攻隊として各書店に切り込んで行く根性を語ってくださり、西端、惚れました。そして写真右下では、丸山先生と)

「ぶ」は、先週より、紀伊国屋書店新宿本店、代官山・中目黒・銀座・阪急梅田の蔦屋書店、丸善丸の内本店に並んだほか、amazonでの購入、全国各書店での注文取り寄せももちろん可能です。ぜひ皆様、私たちのこの挑戦をご自分の目でご覧になり、そしてともに思考して頂けたらと切に願います。

最後に一言私信を。
15年以上前、まだ会社員だった私が当時全盛のmixiに思いつくまま文章を書き散らしていた頃から、私の文章が好きだと言って応援をくださって来た皆様へ、そして新たに好きだと言って応援に加わってくださっている皆様へ。
今では文筆業で何とか生計を立てている私ですが、それでも、その都度媒体に合わせ自分の文体を調整していることがほとんどであることは、皆様にもご理解頂いているかと思います。けれど、この「着物永久進化論宣言」こそは、100%、私、西端真矢の文体で書かれた文章です。そのことを、最後に、愛を込めてお知らせしながら、この論稿の冒頭文章に戻り告知を締めくくりたいと思います。

男子こそ、振袖を着るべきである。
――そう主張したら、あなたは笑うだろうか。
この男子とは、みずみずしい黒髪に切れ長の瞳、小鹿のように敏捷で正義を愛する白皙の美少年。彼らこそ振袖を着るのに最もふさわしい。
――そう言ったら、あなたは眉をひそめるだろうか。
けれど…

「着物永久進化論宣言」、そして「ぶ 江戸かぶく現代」を、ぜひご高覧頂ければ幸いです。


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クロワッサン「着物時間」にて住吉美紀さんの着物物語を取材しました。 2018/03/08



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日々どたばたしているうちに、書店に並ぶは明後日まで…とギリギリのタイミングとなってしまったのですが、マガジンハウス「クロワッサン」の連載「着物の時間」にて、アナウンサーの住吉美紀さんを取材しました。
釜我敏子さんのやさしい色合いのお着物で登場された、住吉さん。雑誌に出る際は、どんなにふだん着慣れている方でも着付け師さんをつけるのが常套なのに、今回、自前の着付け!
しかも、数年前までは着物に興味がなく、むしろ苦手意識を持っていたというのだから驚きです。今やこの上達ぶり、そしてはまりっぷり。そんな住吉さんの着物物語、ぜひ、お読み頂けたら幸いです。(発売期間を過ぎても注文はできますので!)

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