西端真矢

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初めの一歩~~子宮体がんロボット手術回復記 2023/07/25



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子宮体がんの手術から、明日で4週間。退院から3週間が経ち、少しずつ体力を取り戻している。
退院から初めの2週間は、お腹内部の傷も、外側の、皮膚表面の手術痕も、ふとした時にじんと痛んだ。今はよっぽど無理な姿勢を取らない限り痛みを感じることはなくなっているから、傷は順調にふさがっているのだろう。

何よりきつかったのは、毎回、食事の後、30分ほどするととてつもない倦怠感に襲われることだった。座っていることもしんどく、畳の部屋に敷きっぱなしにしているマットレスに、とにかく横になる。そうすると必ず1時間半ほど眠ってしまった。一日中寝てばかりの毎日だった。

思うに、これまでの人生、腸君は(私の中で、腸は男子)、子宮ちゃんや卵巣ちゃん(もちろん女子)にちょっともたれたりしながら、日々の消化のお仕事を行っていたのだろう。
ところが突然彼女たちが消えてしまって、でろーんと伸びた状態で腹部空間に放り出された。え?え? 自分の姿勢がつかめないまま、次々と送り込まれて来る食べ物たち。えい!っとねじれてみたり、びよーんと伸びてみたり。変な姿勢で行う消化活動が、何とも言えない違和感を作り出していたのではないだろうか。
それがだんだんと腸君も新姿勢をつかんだようで、10日ほど過ぎると、倦怠感は朝食後だけになった。たぶん、夕食から朝食まではかなり時間が空くので、朝だけは、姿勢を取り戻すのに時間がかかったのだろうと推測している。
そして数日前からは、朝食後もずっと座っていられるようになった。これは本当に嬉しく、回復を実感している。

そんな中、今週は、行政上の手続きのため、どうしても吉祥寺に出なければならない用事が控えている。もちろん、バスや徒歩で出るのはまだ無理なので、タクシーを使うのだけれど、それにしてもいきなりの外出は無謀だろう。予行演習をしようと、先週木曜の夕方、涼しかったこともあって、家の前の道を歩いてみることにした。
久し振りにスニーカーを履いて、玄関の外へ出る。何だか胸がドキドキしてしまう。一歩、一歩、こんなことになるとは思わず、春先に買っていた新しいウォーキング用シューズで道を踏みしめる。
‥‥けれど、部屋の中にいる時にはまったく感じなかった違和感、肉が引きつれるような感覚が、やはり腹部に現れ出て来るのだった。自然と少し前かがみの姿勢になってしまう。そして手で軽くお腹の上を押さえていないと歩けない。ゆっくり、ゆっくり、とてつもなくゆっくりと歩く。一歩、一歩、とにかくむこうの角まで。70メートルほどだろうか、たどり着いた時、
「帰りもあるんだよ、これ以上は危険!」
と、体の中から警告が聞こえた。引き返して、合計140メートル。本州を縦断したくらいの達成感だった。翌日もこの道歩きリハビリを続けたけれど、翌々日朝、起きると足全体がひどくだるくて、とても歩ける気がしない。暑さが戻って来たこともあって、道歩きリハビリは中断のままとなっている。

それでも、リンパ節を取った関係でとてつもなく腫れ、じんわりと傷みもあった太もも周りがだいぶ落ち着いて来たし(この太もも周りの話はまた後日)、全体に、体もよく動くようになって来たことを感じている。たぶん、今週の外出も何とかなるだろう。
完全回復までにはまだまだ遠い道のりが続いているけれど、一歩ずつ歩き始めている。